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HAN JIHYUK

韓 智爀

韓 智爀

04 August 2016

文化服装学院工芸課程シューズデザイン科を卒業され、会社での職人を経て、現在は浅草にアトリエを構え、靴職人として活躍されている 韓 智爀さん。韓国から留学生として文化服装学院に入学されてから、靴職人として独立するまでの経緯や靴作りに込める想いを訊いた。

本日は、よろしくお願い致します。
早速ですが、韓さんはどういった理由から文化服装学院でシューズデザインを学ぼうと思われたのでしょうか?

韓:留学の目的は、TV番組などのプロデューサーになるために日本の大学に入学することでしたが、色々な学校を検討しているうちに同じく興味があったファッション関係を学べる文化服装学院に惹かれました。シューズデザイン科を選んだのは、服装科には韓国からの留学生が多いということを聞いており、せっかく日本に来たからには日本人が多い環境で学びたいと思ったからです。しかし実際入ってみたら、18人中8人が韓国からの留学生でしたね。笑

最初からファッションやシューズデザインを志していたわけではないのですね。
現在も留学生は多いと思いますが、韓さんの目論見は外れてしまったわけですね。
そういった理由で選ばれたシューズデザインの道ですが、今では独立されて職人として活躍されていますよね?
靴作りにハマったきっかけは何かあったのでしょうか?

韓:最初はいわゆるデザイナーとしての勉強をしたいと思っていたのですが、初めて自分の手で靴を作った時に、「吊り込み」という作業があるのですが、それを実際に経験した時に、徐々に靴が立体的になっていく様子が面白いなと思ったのがきっかけではないかと思います。
革を引っ張った時の伸び具合などもとても興味をひかれました。

なるほど。吊り込みの作業を通じて、自分の手で創るという行為の愉しさに惹かれていったのですね。
制作されているものを拝見すると、オーセンティックなものが多いように見えますが、なにか理由があるのでしょうか?

韓:そうですね、基本的にはオーセンティックなものが好みということもありますし、靴を作ることの愉しさを感じるようになってからいろいろと調べて、3年次に関さんという靴職人さんの元に修行に行くようになりました。
平日は学校で靴作りを学び、土日には職人さんのもとを訪ね、指導して頂いていたのですが、そうした経験も大きいです。

非常に熱心に学ばれていたのですね。
休日も文化の外に修行に行っていたということですが、結果的に文化に入学し、学んでよかったと感じていらっしゃいますか?

韓:特に卒業してからは、文化で勉強できてとても良かったと思っています。
歴史もありますし、なんといってもカリキュラムがしっかりしている点や設備、学校外への見学など、他の学校の方と話していても、圧倒的に違うのでは無いでしょうか。

修行に行っていた、関さんという職人さんは、ご自身で靴のブランドなどをされていたのですか?

韓:いいえ、ブランドから注文を受けて靴を制作されている方で、立場としては今の私と同じようなスタイルで靴を作られている職人さんです。

韓さんは、ご自身のブランドを立ち上げたいなどといったビジョンはお持ちなのですか?
また、今はメンズが中心かと思いますが、レディースを制作される予定などはありますでしょうか?

韓:私の妻が同じシューズ科の同級生なのですが、百貨店のPBブランドを手がけていた経験もあるので、将来的には2人でユニセックスな靴ブランドを作りたいと思っています。

韓国から留学されてそのまま日本で働かれていらっしゃいますが、韓国に帰国されてお仕事をしたいというような気持ちはありますか?

韓:今は韓国に帰ることは全く考えていません。
文化を卒業してから韓国に帰った知人が、韓国でセレクトショップを開いているので、今後ブランドを立ち上げたりした時には、扱って貰えると嬉しいですね。

是非、韓国でも展開できるといいですよね。
帰国された方も含めて、卒業後も文化の同級生たちとは交流はありますか?

韓:ほとんどないですね。
私が在籍していたシューズデザイン科は18人中男性が2人だけだったということもありますが、会うことも少ないです。
ただ、仕事では文化の卒業生にもお会いしますし、今年からは特別講義として、文化で授業をする予定になっているので、在校生と交流できることは楽しみです。

特別講義も担当されるのですね。私も靴はとても好きなので韓さんの講義を受けてみたいです。
講義では技術的なこともお話されると思いますが、靴作りにおいて韓さんがもっともこだわっている部分はどこでしょうか?

韓:靴は1つ1つの細かい作業の積み重ねで成り立っているため全ての工程が重要なのですが、靴作りの魅力に目覚めたきっかけでもある吊り込みは、出来栄えを大きく左右する大切な工程なので丁寧に作業しています。

やはり、つり込みの作業が大切なのですね。私も靴作りの工程は見たことがありますが、とても美しいと感じました。
韓さんは、日本で靴職人として制作されていますが、日本で作られる靴と海外の靴にはどのような違いがあると感じますか?

韓:日本の靴は製品としては100点と言っても良いくらいの完成度だと思います。
それに比べて海外のものは、作りが多少荒く製品的には90点でも、温かみというか、手作りの良さを感じることが多いです。
どちらがいいというわけではありませんが、手作りならではの良さを活かした靴作りをしていきたいと思います。

たしかに、それは靴だけでなく洋服や他の製品にも通じることかもしれませんね。
そういったところにカルチャーや国民性の違いが反映されていて面白いですよね。
これからブランドを立ち上げることも目標として、益々活躍されることを期待しています。

韓 智爀

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