TikTok、SNSを駆使する
デジタルネイティブなインフルエンサー

フォロワー数35万人のTikTokをメインにSNSで活躍する、かきぶちもものさん。同世代の女子に向けてお洒落やメークの秘訣を発信しているインフルエンサーだ。大きな劣等感を抱えつつも、「自分はなにができるのだろう?」と悩み続けて導き出したインフルエンサーの道。人と違う個性を追求する彼女の成功の背景を探った。
夢を実現させたブランド

2025年2月、かきぶちさんは文化服装学院の学生時代から抱いてた大きな夢を叶えた。それはファッションブランドの立ち上げ。インフルエンサーとして日々積み重ねてきたことが実を結んだ瞬間だ。彼女が立ち上げの経緯を次のように語った。
「インフルエンサーがプロデュースするアパレルを製造・販売するアンティローザさんからお声がかかりました。話し合って一緒にブランドを立ち上げることに」

上写真はタイツを除きすべて彼女のブランド「モネピネ(monepine)」のアイテム。シャツ生地風のブルーのストライプ柄は、アイテムごとに柄幅を変えるなどこだわりが満載だ。

かきぶちさんがSNSで発信する内容はいつも、見る人に自信を与えるもの。一緒にお洒落を楽しもう、個性的な人になろうという仲間意識が感じられる。立ち上げたブランドもデザインに凝っている。リボン、レース、フリル、コルセット、ビスチェなどの女子好みのエッセンスを盛り込みつつ、甘すぎないクールなバランスに仕上げている。体型カバーもできて価格もリーズナブルだ。

「サンプルを4回ほどつくり直してもらうこともあります。会社には申し訳なく思うときもありますが、納得のいく服でないと皆さんにお薦めできませんから。いまわたしが着ているグレーのリボンつきジャケットのお値段は15,950円です。デザイナーズなどと比べれば入手しやすい値段だと思いますが、会社からは『もっと安ければ売りやすい』とアドバイスされました。でも買っていただく人にいいものを届けたくて、そこはものづくりを優先させていただきました」
このジャケットは2025年10月下旬よりZOZOTOWNで販売される。気になる人は同サイト内でmonepineで検索してみよう。

かきぶちさんは自身を「デザイナーではありません。わたしはイメージした服を形にする能力がないから」という。絵型を描く実際のデザインは友人のデザイナーに依頼している。イメージや方向性を伝える作業は、クリエイティブ・ディレクションやプロデュースに近い。感覚をシェアして同じ方向に向かえる仲間たちに支えられブランドが運営されている。
ファンと交流したポップアップショップ
新商品を販売するときに開催するポップアップショップは、フォロワーやファンと直接交流できる貴重なチャンス。かきぶちさんが活動の軸にしているYouTubeのコメント欄だけでは見えにくい生の感情に触れられる。

ここに掲載したのは10月にラフォーレ原宿で開催されたイベント。帽子ブランド「カオリノモリ」とコラボしたアイテムの発売記念だ。訪れたファンと一緒にチェキ撮影するなど充実したひとときだった。
水泳選手からインフルエンサーかきぶちもものへ
かきぶちさんの人生には大きな転機が2つある。ひとつは高校生のとき目標に挫折したこと。そしてもうひとつは入学した文化服装学院で進む道を発見したこと。
「高校まで16年間水泳一本で生きてきました。高校に水泳の推薦で入学したほどです。でも周囲の同期が全国トップクラスの選手ばかりで、わたしは足元にも及ばずいつも劣等感を抱えていました。ほかに子どもの頃から好きだったファッションを仕事にすることに定め、学校を調べるうちにアジア最大の学校である文化服装学院を知り、地元の奈良から東京に出ていくことにしました」
職種をはっきり決めずスタイリストを目指せるファッション流通科を選択。入学してすぐに授業で先生から聞いた話に活路を見出した。
「『これからはSNSの時代が来る。就職率もよくなる。こんなアドバイスをしても始める人は一握りだろうけどね』といった言葉をきっかけに、SNS投稿を始めました。入学して最初のゴールデンウィーク明けくらいの時期だったと思います。まずはTikTokのメーク動画からスタート」
「SNSをはじめてからより早く結果を出したいと思うようになって」と話すかきぶちさんは、自身のコンプレックスを隠さず人の共感を得られるやり方に舵を切った。すっぴんをさらした一重メークがバズり、恋愛話をストレートに話した1年前の動画は45万回も再生されている。彼女は地元である関西の言葉遣いで、ジョークや自虐も交えて軽妙にトークする。タレントや芸人顔負けのトークスキルだ。演出はプロからアドバイスされたものなのだろうか?
「いいえ、自分で考えています。事務管理を担当してくれているマネージャーさんはいますが、事務所にも所属していないフリーランスです。もし演出が上手なのだとしたらたぶん、『バズってる動画ってほかと何が違うのだろう?』といつも考え続けているからだと思います。自分の動画も反省ばかりで、もう改善点のことしか考えてないくらい(笑)」
華やかに見えるインフルエンサーで成功している人はみな、裏で努力を積み重ねているのだろう。動画発信している部屋の壁も自らカラフルに塗ったそうだ。
彼女のように自身を発信しながらファッションと関わる仕事に憧れる学生は、どのようなやり方をすればいいのだろうか?どれほどメーク技術を磨いても、映える顔つきのかきぶちさんに及ばないと思う人は多いだろう。
「『顔のせいでバズらない』と自身を否定してしまう人がいるなら、その固定概念は捨ててほしいと思います。バズるポイントは顔だけじゃないのです。一人ひとりが違った個性を持っています。いまのSNSはかわいいだけでは好まれない傾向にあります。わたしは自分と同じ一重の人を救いたい思いでメークを研究して動画をアップしてきましたが、顔以外のチャームポイントが重視される流れを感じています。まずは『容姿だけでなく性格やその他のチャームポイント含め、自分の個性とはなにか』をしっかり考えて実行するのが最善のやり方かもしれません」
メークでもファッションでも男受け路線を選ばなかったのも彼女の英断だった。全国の女性たちを思い浮かべながらモニタを通して語りかけている。

かきぶちさんのさらなる将来の目標は、プロデュース業を広げること。共感し合える人たちが集う場所を設けたいと願っている。
「SNSは続けたいのですが、軸足をプロデュース業に移すことを考えています。まずはわたしのファッションブランドやメーク用品ブランドが並んでいる空間がほしいですね。画像加工しないプリ機を置いたり、仕事場を兼ねた異空間を思い描いてます」
企業案件(広告タイアップやコラボ企画)も増えていくなかで、足固めも着々と進めているようだ。そんな彼女の年齢はまだ23歳。本当にワクワクする未来は、これからやってくるのかもしれない。
※2025年10月取材
LINKする卒業生 ・RINA ファッション流通科 スタイリストコース卒業 スタイリスト・アシスタント https://www.instagram.com/o_official_jp/ 「いま有名スタイリストさんの元で働いている同級生です。すごく頑張り屋さんで当人のルックスもよくて、将来の活躍がとても楽しみな友人です」 |
記事制作・撮影
一史 フォトグラファー/編集ライター
明治大学&文化服装学院(旧ファッション情報科)卒業。編集者がスタイリングも手がける文化出版局に入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。撮影・文章書き・ファッション周辺レポート・編集などを行う。
Instagram:kazushikazu
関連サイト
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かきぶちももの公式インスタグラム。https://www.instagram.com/hitoedes13/
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モネピネの公式インスタグラム。https://www.instagram.com/monepine_official/
INTERVIEW
デジタルクリエイター
かきぶちももの
ファッション流通科リテールプランニングコース 2023年卒業
奈良出身。水泳選手を目指した日々から転身してファッションの道を選び、高校卒業後に上京して文化服装学院に入学。学生時代からSNSを積極的に活用し、卒業後にフリーランスで活動。主な参加メディアはYouTubeで、ファッションブランド「モネピネ」を立ち上げるなどプロデュース、ディレクション業を広げている。
NEXT
次回のVol.50は、障害を持った人たちを支援する施設とニットづくりに取り組む伴 真太郎(ばん・しんたろう)さん。廃棄物の糸も使って現代のファッション産業が抱える問題に取り組む伴さんの、ニットだからこそできる新しい未来の社会とは?
INTERVIEW
デジタルクリエイター
かきぶちももの
ファッション流通科リテールプランニングコース 2023年卒業
奈良出身。水泳選手を目指した日々から転身してファッションの道を選び、高校卒業後に上京して文化服装学院に入学。学生時代からSNSを積極的に活用し、卒業後にフリーランスで活動。主な参加メディアはYouTubeで、ファッションブランド「モネピネ」を立ち上げるなどプロデュース、ディレクション業を広げている。


