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Taisuke Abe

阿部 泰祐

阿部 泰祐

15 July 2016

ファッションプロデューサーとして、『SHIBUYA FASHION WEEK』をはじめ多くのイベントを企画・制作・演出し、成功に導く5MEDIT(ファイブメディット)代表の阿部さん。
スタイリストを目指し文化服装学院に入学した当時のことから、どのようにして現在に至り、これからの展望までを訊いた。

はじめに、阿部さんは現在5MEDITの代表として活躍されていますが、具体的にはどのようなお仕事をされているのでしょうか?

5MEDIT という会社は、「ファッション・デザイン」「ビューティー」「ミュージック」「フード」「エコ」の5つの要素の中間に立ち、それらを編集することで新たなクリエイティブを創りだす会社です。現在は、『SHIBUYA FASHION WEEK』や『TOKYO LEATHER FAIR』など、街とそこで生まれるカルチャーを発信していくようなイベントのプロデュースがメインの仕事になります。

なるほど。文化服装学院ではどのようなコースで学ばれていたんでしょうか?

スタイリストになりたいと思い、流通課程のスタイリスト科に入学し、3年次はファッションディレクター専攻で勉強し、卒業しました。ただ、実は、1年次のはじめに一度休学して、スタイリストの仕事をしたり、ファッションとは全く別の仕事をしていましたが、やはりもう一度ファッションを学ぼうと思い、復学した経緯があります。

なぜ、入学からまもなく、休学することになったのですか?

正直にお話すると、スタイリスト科で学んでいても自分が思っているようなスタイリストにはなれないのではないかと、将来に対して不安を感じてしまったことが理由です。
周囲の人に話を聞いても、結局は現場で学ぶしかないというようなことも言われ、それならばスタイリストに付いて仕事をしたほうが良いのではないかと思い、休学して働くことにしました。
ただ、実際にスタイリストの仕事を知っていくうちに、そこに対しても違和感を覚えるようになり、辞めてファッションとは全く別の仕事をしていました。

実際の現場を知ることで理想と現実のギャップを感じたということですね。それでも復学された?

そうですね。ファッションから離れてみて、やはりファッションが好きという気持ちは変わらなかったので、復学して勉強してみようと思いました。
そして、3年次のファッションディレクター専攻の時に、講義を通じて、後の師匠となるSUNデザイン研究所の大出さんと出会い、それまでの「スタイリストになりたい」といったことではなく、「この人みたいな男になりたい」と思いました。

文化服装学院での出会いをきっかけに、新たな目標を見つけられたわけですね。入社から独立されるまでに様々なことがあったかと思いますが、独立されたきっかけは何だったのでしょうか?

入社後、しばらくして代表補佐という役職を与えて頂きました。会社のトップと過ごす日々は刺激的で、在職中は本当に貴重な経験をさせて頂きました。今でも、常に頭には師匠である大出さんのことがありますし、非常に感謝しています。
いつまでも付いて行きたい思いはありつつも、自分が今の時代を捉えた時、新たな価値の創出はファッション業界だけではなく他業界との共創がキーワードであると考え、5MEDITの理念が生まれました。これが独立のきっかけです。

入社後に経験されたことは本当にかけがえの無いものですね。独立してからどのような お仕事をされたのでしょうか?

独立後は幸先良くスタートしたのですが、すぐに3.11の震災があり、その後しばらく仕事がなくなってしまいました。チャリティーなどの仕事はありましたが、大型のイベントをできる状態ではなくなってしまって。その後、少しずつ復興が進む中で、様々なご縁に恵まれて今のような仕事につなげることができるようになってきています。

独立後すぐに震災が起きてしまったのですか。確かにファッションにかぎらず自粛ムードは非常に強かったと記憶しています。
現在は、様々なイベントをプロデュースされていますが、今後の展望などもお聞かせ頂けますか?

現在進行中のプロジェクトはもちろんですが、やはり2020年の東京オリンピックでは、ファッションやミュージック、ダンスをはじめとするパフォーマンスなど東京発のカルチャーを世界に向けて発信していきたいと思っています。
街も行政も非常に力を入れているので、現在も様々な企画をともに進行しています。オリンピック開催のタイミングは、改めて日本の、特に競技開催エリアのひとつである渋谷は注目され、世界に向けてカルチャーを発信できるチャンスだと考えて、取り組んで行きたいと思っています。

自分自身の明確なヴィジョンを描くことによって、理想を更新し、ファッションプロデューサーとして東京を中心にカルチャーを発信していく阿部さんの活躍からは今後も目が離せない。

阿部 泰祐

ファイブメディット株式会社 代表取締役 兼 プロデューサー

ファイブメディット株式会社 代表取締役 兼 プロデューサー

2002.3 文化服装学院FD専攻を卒業。
2002.4 SUNデザイン研究所に入社。
憧れであった大出一博 代表に師事し、代表補佐・プロデューサーとして従事する。
在職中には繊研新聞社「日本のファッションを面白くしてくれる次世代100人」(2010.1)に選出された。
2010年5月に独立し、ファイブメディット株式会社を設立。

2002.3 文化服装学院FD専攻を卒業。
2002.4 SUNデザイン研究所に入社。
憧れであった大出一博 代表に師事し、代表補佐・プロデューサーとして従事する。
在職中には繊研新聞社「日本のファッションを面白くしてくれる次世代100人」(2010.1)に選出された。
2010年5月に独立し、ファイブメディット株式会社を設立。

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