RISA SONOI

Ray BEAMS
バイヤー
園井りさ

Ray BEAMSバイヤー、
店・展示会・本社での2DAYS

園井りさ さんは、Ray BEAMS(レイ ビームス)の品揃えを担うバイヤーチームの一員。文化服装学院卒業生紹介の連載「LINKS」は今回、園井さんの2日間の仕事現場に密着!どんなことにも誠実に向き合い、「いいものをお客様にお伝えしたい」と語る彼女の創造的なデイリーワークに迫った。

イベント設営@六本木ヒルズ/ 12月7日 21:00 

 
とある日の夜、東京「ビームス 六本木ヒルズ」に園井さんが向かった。翌日から開催されるジュエリーブランド「RUKA(ルカ)」のポップアップイベント準備のためだ。他店以上にシックでラグジュアリーな店でジュエリーを魅力的に見せるため、ブランドと付き合いの深い彼女が設営を行った。店のスタッフやディスプレイ担当者(ビジュアルマーチャンダイザー)らと相談しつつ、約1時間半掛けてディスプレイ。

閉店後の店内でRUKAのジュエリーを並べる園井さん。

BEAMSの店のなかでもハイエンドなアイテムを取り扱う「ビームス 六本木ヒルズ」。

時の流れを経たアンティークパーツをレジン樹脂で閉じ込めたクラシックモダンなジュエリー。

ブランドの世界観を示しつつ商品を見やすく並べるのは難しいもの。客の興味を惹かせる華やかさも大切だ。園井さんらのチームは一緒に、上下を入れ替えたり数を減らしたりを繰り返して完成に近づけていった。店はバイヤーが買い付けるアイテムを客に届ける最重要な空間。BEAMSバイヤーたちはほぼ全員が販売スタッフ出身である。店をよく知るからこそ見栄えする見せ方がわかるのだろう。ディスプレイのアイデアも店で培ったスキルだ。

担当スタッフたちで最終チェック。
ようやく完成!ガラス扉を閉め、このまま静かに翌朝の開店時間を迎える。
園井さんもお気に入りのハート型リング。クリスマス気分の「Love」文字入り。甘さが控えめでどんな服装にも合うのがRUKAのデザインセンス。


園井さんはセール時期などの店が忙しいときにいまも店頭に立つ。彼女いわく、
「販売仕事だった頃より、いまのほうが店にいる時間が楽しい気がします。店の大切さをより実感していますから。スタッフ同士のコミュニケーションの場としても欠かせません。ビームスの社内でのチャット機能で各店舗のスタッフとやり取りする機会も増えました。買付けや品揃えには、現場をよく知るスタッフのテンションが響きます。皆が求めているものはなにかを日々探ってますね。全国の店を巡回することも積極的にやっていきたいです」
Ray BEAMSのラインナップにいつもフレッシュな空気が漂うのは、現場の気分が反映されているからに違いない。

アイテム買付け@ミュベール/12月8日 10:00

夜遅くまで店で働いた翌日の朝に園井さんが訪れたのが、クリエイティブなニッポンブランド「ミュベール(MUVEIL)」の2024年秋冬展示会。「Ray BEAMSのテイストに合う敬愛するブランドです」と園井さん。同期で同じバイヤーチームで働く李 未玲(リ ミリョン)さんとともに会場入りして、約半年後に店に置く服を真剣にバイイング。

着るイメージを膨らませながらアイテムをチェック。同じくウェア担当バイヤー李さん(左人物)の意見も聞きつつ選んでいく。
ブランド側からのコレクションテーマやアイテム説明に耳を傾け、デザインの意図をしっかり理解するのが園井さんの買付けスタイル。

園井さんがバイヤーになったきっかけは、社内の人事異動。Ray BEAMSの店で働いていた当時の上司が、バイヤーに向く資質を見出したことで現職に就いた(※詳細は記事後半にて)。初めて先輩バイヤーと訪れた展示会は「チカ キサダ(Chika Kisada)」。
「もう、緊張しかなかったです!ショールームの方々にお会いするのも初めてでしたし。デザイナーの幾左田千佳(きさだ・ちか)さんもいらっしゃって、気さくにお話してくださったことをよく覚えています。こうした経験を重ねるうちとくにデザイナーズブランドについて、展示会で学んだブランドの背景や世界観を店舗の皆と共有したいと強く願うようになりました」

バイヤーが客目線で自ら着て、互いに撮り合って記録。この場でオーダーせずあとで写真を見返して決めることも多い。
展示会記念にミュベールがつくったお土産をいただいてにっこり。24年秋冬テーマを象徴するモチーフのオリジナルチョコレート。

店のスタッフにブランドの魅力を伝えて気分が盛り上がれば、その気持ちが客へと伝わっていく。
「文化服装学院の学生時代に授業で富山や桐生(群馬)の工場を見学する機会があり、『都会にいなくても、いいモノづくりをする人たちがいる。この人たちの仕事ぶりを多くの人に伝えたい』と考えるようになりました。魅力的なモノづくりを人に伝えたい気持ちは、すでにその頃芽生えていたのかもしれません。自分が見つけた新規ブランドにまずスタッフが共感してくれて、最終的にお客様に認めていただき次の取組みにつながるのが理想的な仕事です」

オーダー会での接客@BEAMS本社/12月8日 12:00

「これぞBEAMSの基本中の基本です」と園井さんが語るのが接客仕事。BEAMSは年に2回、原宿本社でVIP顧客だけを招く特別なシーズン先行受注会を開いている。ウィメンズ、メンズ、グッズらのほぼすべてのBEAMSレーベルが一同に介する大規模イベントだ。昔の顧客に再び会えたり、顧客に直接アイテムを説明するいい機会になっている。
ミュベールの展示会のあと、園井さんはすぐ本社にリターンしてこのイベントに加わり顧客を出迎えた。やってきたのは付き合いの長いヘアスタイリストの倉田聡子(くらた・さとこ)さん。

店に並ぶ前の商品を顧客に見せる絶好の機会。説明にも熱が入る。

ふたりが知り合ったのはなんと、園井さんが高校生だったとき。
「すでに美容師だったわたしが、原宿を歩いていたりさちゃんをカットモデルでスカウトしたのが出会いのきっかけです。それ以来の付き合いになります。この人がBEAMSにいたからこそRay BEAMSによく買いに行くようになりました」

現在の店での担当販売スタッフである井上さん(左人物)も同行。

園井さんが店から離れたあとも倉田さんはずっとRay BEAMSのファン。いまではビームスウィメン原宿で園井さんのあとを継ぐ井上あおい(いのうえ・あおい)さんの顧客としてレーベルとの仲が続いている。イベント会場を一緒に巡り歩く3人には、顧客と店、職種の違い、先輩と後輩といった垣根を越えた心地いいムードが漂っていた。

Ray BEAMSの歴史的な年表を見る3人。
今年がなんとRay BEAMS誕生の40周年!時代に合うしなやかな変化が長続きの秘訣かもしれない。

バイヤーになるまで  〜服づくりからの発想転換〜


高校を卒業した園井さんが通った文化服装学院のコースは、4年制のファッション高度専門士科。大学卒業と同等の称号を取れる特別な科だ。最初に目指したのはパタンナー。
「しっかり4年間学びたくて選んだ科です。でも地方の服飾工場に見学に行ってから“伝える”ことに興味を持ちはじめました。つくり手の思いや服のよさを多くの人に知っていただきたいと。BEAMSなら“売る”だけなく“伝える”こともできると感じて入社しました。デザイン力のある尖ったアイテムを扱うレーベルが多いことも入社を決めた理由のひとつです」
販売スタッフとして店に勤め始めた当時は、どのような仕事ぶりだったのだろうか?
「1年目はいま振り返ると、恥ずかしいくらい接客がヘタでしたね。試着したお客様がお似合いでも褒めることさえできず。苦手すぎてすぐ店の裏に引っ込んで服の整理ばかりしてました」


接客もしだいに上手になりスキルアップしていった。その積み重ねがバイヤーへの道を切り開いた。
「東京や横浜の店に勤めたあと、渋谷にあるRay BEAMSを含む複合店に異動しました。狭いスペースでアイテム数も少なく専任スタッフもわたしだけ。どう売るべきかをすごく考えて店に合うアイテムを会社に提案するうち、内勤(本社勤務)の人たちとのつながりが深くなりました。あるとき休憩室に呼ばれ、バイヤーへの異動を前提にして話し合いしました。ちょうど産休に入る先任バイヤーがいて、補充するタイミングでもあったのでしょう」

本社のとあるエリアにて、顧客イベント参加の3人を記念スナップ!

「バイヤー就任が決まったときは正直、『大丈夫?わたしで??』と思いました。期待感より不安のほうが先に立っていたんです。バイヤーになりたい人が多いなかで自分が選ばれたことへの戸惑いもあって」
セレクトショップのバイヤーは、社内の誰かに見出されて異動でなるケースが多い(BEAMSに限らず)。努力してなれる職業でもない点が、バイヤーに憧れる学生には悩ましいところ。可能性を広げるヒントとしては、どんな仕事でも積極的にマジメに働くことが大切なようだ。
「内勤のわたしたちって、実はネットやSNSで各店舗のスタッフたちの着こなしを日々見てるんです。何を買っているか、何を着ているかなどを眺めて。単に楽しいからでもありますし、スタッフ探しのリサーチでもあります。『販売スタッフが思っているよりも、わたしたちは一人ひとりをよく見てますよ』ということをお話しておきたいです」

園井さんには現職を通じて思い描く理想の世界がある。
「仕事に関わる人たちが皆ハッピーであってほしい。最終的な目標をわかりやすい言葉にすると『世界平和』です。BEAMSを通じて洋服を通じて、少しでも社会貢献することを目標に日々を過ごしています」

※2023年12月取材


LINKする卒業生

・高地千絵里(ファッション流通科 リテールプランニングコース卒業)
www.beams.co.jp/staff/1969/

「Ray BEAMSのEC販売を担当している2年下の後輩です。働く部署は違えど、同じRay BEAMSチームの頼もしい存在です」

記事制作・撮影
一史  フォトグラファー/編集ライター
明治大学&文化服装学院(旧ファッション情報科)卒業。編集者がスタイリングも手がける文化出版局に入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。撮影・文章書き・ファッション周辺レポート・編集などを行う。

Instagram:kazushikazu

関連サイト

INTERVIEW

BEAMS
レイビームス バイヤー
園井りさ(そのい・りさ)
ファッション工科専門課程 ファッション高度専門士科 2016年卒業

1993年、神奈川出身。Ray BEAMSのスタッフとして「ビームス 新丸の内」にて販売仕事をスタート。池袋、横浜など店を移り、「ビームス ジャパン 渋谷」勤務で実力を認められバイヤーに異動。コロナ禍も含む2年半でキャリアアップ。パリなどの海外出張にも行き独自の目線で世界中から優れたブランドを発掘中。

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Vol.030

シンヤコヅカ 横井隆一郎

服飾専門課程 服飾研究科卒業

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園井りさ(そのい・りさ)
ファッション工科専門課程 ファッション高度専門士科 2016年卒業

1993年、神奈川出身。Ray BEAMSのスタッフとして「ビームス 新丸の内」にて販売仕事をスタート。池袋、横浜など店を移り、「ビームス ジャパン 渋谷」勤務で実力を認められバイヤーに異動。コロナ禍も含む2年半でキャリアアップ。パリなどの海外出張にも行き独自の目線で世界中から優れたブランドを発掘中。

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シンヤコヅカ 横井隆一郎

服飾専門課程 服飾研究科卒業